ハワード・フィッリプス・ラヴクラフトは生前に認められることはなかった。
彼の作品が受け入れられたのは怪奇幻想小説を専門とする
パルプ雑誌「ウィアード・テールズ」が主で、ソレ以外では
まったくといっていいほど受け入れられなかった。
当然、作品集がまとめられることもなく、
生前に出した本は「インスマスの影」(The Shadow over Innsmouth)のみである。
それも私家版同然の小規模出版でわずか400部しか印刷されず、
販売部数も150部という稀覯本である。
本来ならラヴクラフトは一介のカルト作家として
誰にも知られることなく終わっていただろう。
そうならなかったのは、オーガスト・ダーレスの功績といえる。
オーガスト・ダーレスはラヴクラフトを尊敬し、
弟子を自認していた。
ダーレスはラヴクラフトの作品を出版するためだけに、
出版社「アーカム・ハウス」を設立。
遺稿の収集と出版を行った。
まだダーレスはラヴクラフトの友人や弟子たちに
神話作品の執筆を依頼。
系列作品を出版した。
その結果としてダーレスを始め、ロバート・ブロックなどの盟友や
コリン・ウィルスンやスティーブン・キングなどといった有名所までもが
クトゥルー神話作品を書き続けることとなる。
そしてそれはアメリカのホラーにおける
一つのジャンルといえるほどに成長したのだ。
「ラヴクラフティアン」という言葉がある。
これはクトゥルフ神話の熱狂的なファンを表す言葉だ。
「シャーロキアン」と同様の言葉である。
日本でもクトゥルフ神話の影響は大きい。
菊地秀行や栗本薫などの大御所作家が
クトゥルフ神話を題材としたシリーズを執筆している。
ソレ以外でも神話要素を含んだ作品は枚挙にいとまがない。
それについては別に書きたいと思う。
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