クトゥルフ神話とは

クトゥルフ神話とは簡単に言えば、

共通の世界観、アイテム、地名などを持つ

小説、映画、ゲームなどの作品群である。

 

ただし、設定の統合が行われているわけではないので、

一般的なシェアードワールドとはいえない。

 

そのため、作品ごとに設定の矛盾などが見られるし、

時系列も必ずしも一致しているとは限らない。

その源泉は1920年代から1930年代にかけて

活躍した一人の男にさかのぼる。

 

その男の名はハワード・フィリップス・ラヴクラフト

 

彼はロードアイランド州プロヴィデンスにうまれ、

人生の大半をそこで過ごした。

 

彼は幻想恐怖小説雑誌「ウィアード・テールズ」などで

主に活動した。

 

彼の発表した中短編はどれも

独自の世界観、宇宙観を築き上げていた。

 

それは当時の主流からははずれた、

けれど、斬新で、奥深い恐怖を持つものだった。

 

簡単に世界観を説明しよう。

 

ラヴクラフトの作品における人類とは

万物の霊長などではない。

 

なぜなら地球にはかつて外宇宙から飛来した

超越的存在、「旧支配者」が存在していたからだ。

 

彼らは星辰の変化により、地上から消え去った。

 

しかし、それは仮初の死でしかない。

 

彼らは地底で、深海で、あるいは異次元で

復活の時を待っている。

 

現代を生きる我々からしてみれば、

よくあるネタと思えるかも知れない。

 

だが、ラヴクラフトの生きてきた時代を

考えてみて欲しい。

 

ラヴクラフトが活躍したのは1920年から1935年、

日本では大正9年から昭和10年までの期間だ。

 

当時の世界には未だ人間のあずかり知らぬ

秘境、魔窟がはびこっていた。

 

飛行機は実用化されたばかりで、

電気もこれから本格的に普及して

いこうという時代である。

 

当時のアメリカはキリスト教的世界観が当然であった。

 

ラヴクラフトはそれを真っ向から否定し、

宇宙の中で孤立無援な人間の無力さを語ったのだ。

 

ラヴクラフトが目指したものは

単なる肉体的な危機、恐怖ではない。

 

人間の精神、あるいは魂そのものを脅かす恐怖。

 

想像するだけで狂気に陥る圧倒的恐怖。

 

彼はそれをコズミック・ホラー(宇宙的恐怖)と呼んだ。

 

ラヴクラフトは既存の神話・伝承を使うことはしなかった。

 

オリジナルの神々、魔道書、地名などを創り上げ、

それを縦横無尽に使い、深遠な神話世界を構築していったのだ。

 

ラヴクラフトはこれらのアイデアを、

友人だけでなく、添削指導していた作家志望の若者たちにも

自由に使わせた。

 

そして彼の死後も、影響を受けた様々な作家たちが

その世界観を踏襲した作品を世に送りだし続けた。

 

そしてそれらの物語はいつしか

「人工的な神話」となった。

 

この神話はラヴクラフトの世界観を象徴する

最も有名な邪神、クトゥルフの名をとって

「クトゥルフ神話」と呼ばれることになった。

 

 

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